ギターでもベースでもドラムでもない。
もちろんピアノでもない。
その、喉が、声が楽器なんだ。
スティーブ・ペリーはちゃんと楽器の演奏が出来ます。ギターもベースもドラムも、もちろんピアノも出来ます。
でも、ボーカリストに徹していましたね。
たまに、サイドギターを弾くジョナサン・ケインに替わってピアノを弾いたりはあったようですが、基本的にはリードボーカルに徹してた。
ちなみに、リードボーカルをやりながら演奏するのが難しい楽器は、実はベースだと聞いたことがあります。ボーカルやりながら楽器演奏をするのは、つまりは2つの楽器を同時に演奏するようなものなんでしょうね。
スティーブ・ペリーぐらいにボーカリストとしての精度の高さを維持するなら楽器演奏を諦めなければならなかったかも。
でも、ライヴパフォーマンスを観てるとね、結構エアベースやエアギターになってるとこあります。本当は、演奏もしたかったのかな?って思った。
もしも、もしもですよ?
ピアノのグレッグ・ローリーがライヴ疲れで心労溜めて辞めたりせず、楽曲によってはダブルボーカルのままのジャーニーだったら?
スティーブ・ペリーの喉は、声はもう少し全盛期を維持したかも知れない。
そして、キーボードのジョナサン・ケインを何でも出来るからサイドギターで迎え入れてれば、バンドとしてまた別の魅力があったかも。
サンタナを抜けたギタリストのニール・ショーンは、グレッグ・ローリーとジャーニーを立ち上げ、スタジオアルバム3作品を送り出しながら商業的には低迷したままだった。
マネージャーのハービー・ハーバートが、路線変更をさせるために加入をさせたロバート・フライシュマンと交代させてでも欲しがったスティーブ・ペリーの歌声。
あのどこまでも伸びていくハイトーンを聴いたら、音楽関係者なら感じるものがあるでしょうね。見事に正解だったし。
だからこそ、あの声を大切にしたライヴスケジュールであって欲しかったな、と思う。
グレッグ去った後のジャーニーに於いては、全ての歌をボーカルとして歌ってきたスティーブ・ペリーの負担をどうにか出来なかったものか?と。
ボーカリストが、ただの楽器ならば調整すればまた直るだろうし、最悪壊れてしまえば取替えも利く。
けれど、ボーカリストは生身の人間だもの。
喉は、どうやったって取替えられないから、、、
スティーブ・ペリーの歌声はアルバム毎に変わっていきます。
私の印象としては、
ペリー加入直後の『INFINITY』インフィニティと
『EVOLUTION』エボリューションは声質は似ている。
しかし、その後はペリーのソロを含めてもアルバム毎に声は次第に変わってゆく。そしてペリー在籍最後のスタジオアルバム『TRIAL BY FIRE』トライアル・バイ・ファイアと、24年ぶり復帰作『TRACES』トレイシズ の声質は似ている。
こんなに声質が変わっていくボーカリストもそうそうおらず、それでも未だにジャーニーの声として認知度が高いスティーブ・ペリー。私のような後追いファンですらそう思うのです、ペリーがボーカルのジャーニーが好きです。
ギターがニール・ショーンでなければならないのと同じです。
キーを下げていい、ライヴ日程を少なくしていい、バンドも同じメンバーで年齢を重ねて、円熟していく姿を見たかったな。
40年遅れてスティーブ・ペリーに気が付いて、追っかけてみたら途中で脱退、また合流、やっぱりまた脱退してた…とか、これは好きになった者としては胸が痛過ぎるんです。
時々、聴いてて泣いてしまうことがある私は、これはただの更年期だろうか。
ずっと前からスティーブ・ペリーのファンのひととかはどんな気持ちなんだろう(涙)
私は、遅まきながらスティーブ・ペリーをずっとこれからも聴いていくつもりです。